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隆志が凛の見舞いに来るようになってから、さやかと隆志は、朝から面会時間が終わるまで凛に呼びかけ続けた。
だが、相変わらず凛に回復の兆しは見えない。
そんな日々が1週間ほど続いたある日、隆志が家から包みを持ってきた。
「隆志、それなに?」
「前に凛くんの母さんにもらった物なんだけどな……」
隆志はその包みを開くと、そっとさやかに向けて見せた。
「……絵?」
「ほら、おばさん絵描くの趣味だったろ?
で、家に遊びに行った時に、この絵を見て一発で気にいってさ。
そしたらくれたんだよ」
その絵に描かれていたのは、3羽のスズメ。
肩を寄せ合い、楽しそうに囀っているのが聞こえてきそうな素朴な絵。
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