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「保健室はそのようなことをする場所では、ありませんよ。水樹」
蓮谷「げ、龍兎(りゅうと)。なんでこんなところに…」
龍兎「保健医である私がここにいるのは、当たり前のことです。寝ぼけているんですか?」
神崎 龍兎はこの学校の保健医。
年は俺と同じで、高校からの付き合いになる。
蓮谷「そうだったな。それよりも今の…みたのか?」
龍兎「はい。でも偶然ですよ。」
先程から変わらず、微笑んでいる。
蓮谷「うわ、最悪。」
龍兎「最悪とは失礼ですね。そんなことを言うのなら、学校中に広めてあげましょうか?」
黒い笑みを浮かべる、龍兎。
蓮谷「冗談だろ…?」
龍兎「さぁ、水樹の返答次第ですね。」
蓮谷「あのなぁ…」
龍兎「冗談ですよ。それよりも水樹はそこにいる彼女のこと、好きなんですか?」
ベッドに横になる美波をみながら言う。
蓮谷「な、何言ってるんだ!そんな訳無いだろ!?」
龍兎「そうですか。それはよかったです。」
蓮谷「は?なんでだ?」
何がよかったんだ?
龍兎「好きではないのでしょう?水樹は教師、彼女は生徒。もし特別な関係で、その事実がばれたら…どうなるか分かりますよね?」
もしばれたら…
こいつは
蓮谷「退学…?」
龍兎「そうです。彼女は退学、水樹は教師を辞めることになる可能性が、高いですね。それに、彼女の未来を奪うことになるかもしれません。」
こんな簡単なことどうして考えられなかったんだろう。
否、考えたくなかったんだ。
俺の勝手な気持ちで、こいつの未来を奪うことになるかもしれない。
退学…。
まだ16のこいつの未来を奪うなんて、出来ない…
こんな感情は、まだ花が咲かないうちに
摘み取って捨ててしまえばいいーーーーー
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