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クレアはクリュードが困る顔を見て微笑した。
顔を赤らめて恥ずかしそうに照れるのが予想出来ていたみたいに笑うクレア。
「王に忠実な部下を持って私は彼の妃として鼻が高いわ。これからもあの人の事よろしくね。」
「仰せのままに。先の戦いの頃より王に仕えていますからお任せ下さい。」
「頼もしいわ。何かあったら部屋にいるからノックしてね。クロスにもそう言ってくれると助かるわ。」
「畏まりました。ゆっくりお休み下さいませ。」
「ありがとう。」
クレアはクリュードの気の利いた心遣いに甘え優しく微笑み部屋に戻っていった。
「あの方も魔界に来てから色々と大変だったでしょう。人間という立場が魔界人から毛嫌いされていました。先の戦いで魔界にも貢献されたというのに冷たい目で見られ中々受け入れられなかったのですからさぞ辛い思いをなさったでしょう。だから今は、ゆっくりお休み下さいませクレア姫。」
魔界の次期王となるはずだったゼファイドが邪剣にとりつかれたデュシスによって殺された。クレアは、ゼファイドを守れなかった罪を魔界人により咎められた。
ゼファイドの生まれ変わりがクロノスだと知ってもその罪は魔界人によっては消えないものだったのだ。
「クリュード、溜め息なんかついてどうした?何か悩み事でも抱えているのか。」
彼は、クリュードの友人で先の戦いでも活躍をしていた亡きゼファイドの部下の一人、ジェイク。
仲間思いで女性、子供には特に優しい男。
「クレア姫の事で溜め息をついたんだ。クロノス王がいるとは言え彼女は辛い思いをしてきて堪えているかと思うと不敏でならない。」
「彼女を妃ではなく姫と呼ぶのはお前だけだぞ?まだ、妃と認めていないのか。」
「そうじゃないさ。ただ、私の中では今でもクレア姫としての彼女にしか見えないんだ。妃と呼べば手が届かなくなってしまいそうなんだ。」
「クリュード、お前は彼女に恋をしてしまったんだろ?だから、妃と呼びたくないし気にかけてばかりいる。」
「馬鹿な事を言うな!クレア姫は、クロノス王の妻だぞ?そんな方を私が想うはずがない。身分が違い過ぎる。」
焦るクリュードに恋愛の達人であるジェイクは吹いた。
「相変わらず真面目だな?まっ、王に忠実なのは立派だが自分の気持ちには正直になれよ。」
「…全てお見通しなんだな。」
「ああ、お前分かりやすいからな」
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