始まりの時…

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クロノスは、クレアの中にゼファイドはまだ存在していると思った。 「お兄ちゃんは、ゼファイドって人の本当の生まれ変わりだって事?」 「違うわ!クロスは、彼に何処か似てるから重なって見えるだけよ。貴方が、生まれ変わりだって私は信じてる。」 クレアは、クロス=ゼファイドになる筈が無いと否定した。 「私の記憶は亡き彼の物だが、いずれクロスが次期魔界の王になった時に彼の記憶もクロスのものに…」 「やめて!貴方は、魔界の王でしょ?私は、確かにゼファイドの生まれ変わりだって分かった時に喜んだ。でも、貴方がゼファイドの生まれ変わりだって知る前に貴方を愛したのよ?」 「クレア、それはゼファイドの事を記憶から削除する為にではないのか?」 「辛かったの!彼を忘れる事で未来が見えるならって思った。騎士として生きて戦う事で彼を愛した気持ちと存在を消したつもりだった。」 クレアは、過去に心底愛した者はゼファイドとクロノスだけだという。彼らの存在が彼女を変え、大きく成長させたのだ。 「ママ、パパは好きじゃないの?他の人の事まだ忘れられない?」 「ローザリア、私が他の人を好きなら貴方達が存在する事は無かったわ。貴方達が生まれてくれた事すごく嬉しく思ってるの。」 「ママ、ごめんなさい。ママが他の人とパパを比べてるんじゃないかって思ったから聞いたの。」 寂しそうな顔をするローザリアの優しさにクロノスは微笑し、彼女を抱き抱えた。 「ローザリアは、とても優しい子だ。クレアとよく似ている。クロス、ローザリアを部屋に連れて行ってくれないか?大人だけで話がしたい。」 「うん…」 クロノスは、ローザリアを下ろしてクロスは、ローザリアの手を繋ぎ部屋から出ていった。 「ごめんなさい。私が彼をクロスと重ねて見えたばっかりにこんな事になってしまったわね?」 「クレア、クロスはもう少しすれば魔法学園に行くのだろう?離れていれば幻覚を見ることもない。」 「クロスがゼファイドに見える私に怒っているの?」 「否定はしない。私は、魔界の王として職務に追われクレアや子供達に寂しい思いをさせてきた。」 「クロスが魔法学園で生活してる間は、貴方も安心だって事?」 「クロスは、私とクレアの子供。だが、クロスの中にいるゼファイドの存在は否定出来ない。私は、彼の記憶しか持っていないのだからな?」 「だから、クロスに嫉妬してるの?貴方は私を…!」
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