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クロノスは、クレアをいきなり抱き締めた。彼の中でクロス=ゼファイドに対する嫉妬心がそうさせたのだろう。
「クレア、私はクロスを自分の息子だと可愛がってきたつもりだ。クロスは、クレアにとって息子としてではなく亡くなった恋人の姿を重ねて見ている。だから、あの子が憎くて仕方ない。」
「…どうすればいいか分からないの。私は、貴方を傷付けている。クロスは貴方の子供なのに私のせいで親子の絆が壊れていくのは嫌なの…」
「クレア、私もクロスを怨みたくはない。だが、クレアの目にうつっているのは私ではなくクロスの中にいるものだ。」
クレアが見ているのは、息子としてのクロスではなくゼファイドの姿だという。
クレアは、クロノスの言葉にショックを隠せなかった。
「クロスが彼に見えるのは幻覚じゃなくて私がまだ彼の事を想っているからなの?でも、貴方はクロスが彼の本当の生まれ変わりだって…」
「クロスは、姿が彼に似ている。今は、優しいクロスだが学園に行けば力を開花させると共に次期魔界の王としての器になるだろう。」
「クロスが成長して追い付かれるのが怖いの?」
「ああ。あの子は、優しい子だが何かを決意した時の目が鋭くて怖い。魔界の王子としての強い目をしている。」
「貴方が嫉妬する程クロスは成長してるって証拠よ。でも、私は息子に嫉妬をする魔界の王の事が大好きなの。」
「クレア…ありがとう。」
クロノスは、クレアの思わぬ切り替えに微笑んだ。クレアは、迷いを吹っ切り強い女性だと確信した。
「私は、貴方がいないと駄目なのよ?どんな事があっても離れられないみたいね。だから、さっきの事は忘れて。」
「ああ、そうだな。クロスは自慢の息子だ。これからの成長を楽しみにしている。」
「偉大な魔界の王が息子に嫉妬しちゃうなんて可愛いけど、それじゃあ貴方に従う人達が可哀想でしょ?嫉妬で仕事が疎かになっちゃうわ。(笑)」
「クレアが私の嫉妬を解放してくれるなら従う者も文句は言わないさ。」
クロノスにとって魔界の王である事はもちろんだが、クレアの存在(支え)が大切だった。
「私をからかう余裕がある人に解放する必要はないと思うわよ😃💢」
「からかってなどいないさ💦ただ、クレアが私の側で子供達と笑ってくれるだけで安心する。」
「魔界の王も家族が一緒にいないと寂しいものね。スキンシップも必要かしら?(笑) 」
「クレアに任せるさ。」
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