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「…………仕方ないんだ」
男は、俯き気味の顔で呟くように言った。
凛はその言葉に対し、聞き返そうと口を開こうとした時、
「もう…………もうそれしか希望が無いんだ」
開き直ったような微笑みで、男は凛に向けてそう告げた。
「……どういう意味で?」
凛は、男に聞く。
先程までの理不尽に対した不満の様な問いではなく、
純粋な疑問。
「先程、話にあった隕石なのだが……現在、用いることが出来る全ての技術でも、防ぐことが出来ないのだ……」
驚愕。
そして、納得。
つまり、彼は現在『既知』である技術が隕石に対して通じないなら、『未知』の力に頼ろうとしたのだ。
いや、頼るなんてものではないかもしれない。
全ての可能性が消え、暗闇の中にポツンと光る、弱々しい光に縋るような思いなのだろう。
「つまりは『Lv.X』には、人類を……いや、地球を助ける可能性を持っている。そう言いたい訳ですね?」
凛は男に対し、そう言ったのだが、
「いや。もう『Lv.X』にしか地球が助かる可能性がないんだ」
その位の、少しの言葉の違いくらい別にいいだろうと思うだろう。
が、彼にとって、いや地球にとって『Lv.X』は暗闇のなかの一筋の光明。それを考えたら、小さな言葉の違いも直そうとする、彼の行動は必然とも言えるかもしれない。
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