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とある日の朝、とある公園の風景、ベンチの上で眠る少年は、気怠そうに目蓋を開けた。
「……ヤな夢見たなぁ……昔の夢かぁ」
そう呟き、彼は身体を起こす。そしてベンチに座る体制へ身体を動かした。
眠気を無くそうと手を組み、上へあげ、身体を伸ばしている。
「うぅ~ん、今日も天気良さそうだな……ふぁぁ」
しかし、まだ少し眠気は残っているようで、大きな欠伸をしていた。
彼の名は天城 圭(あまぎ けい)、見た目としては15~17歳位のように見える。正確な年齢は彼自身も把握していない。
容姿は、色素が薄いのか、日に当たるとまるで透けているかの様に見える茶髪、透き通る様な白い肌。
全体的に朧気で儚げな印象を与える。
透明な少年。
「……それにしても、固いところで寝たからか、身体が痛いなぁ……」
二度と公園のベンチでは寝ないと決めた圭だった。
彼には帰るべき家がない。
連続放火犯。
それが圭の家を、家族を失わせた者の名前。
本名は定かでない、それを知る前に、圭は家を出たので、その者が捕まったのかどうかを知らなかった。
しかし、彼自身はそれを気に留めていなかった。
むしろ、忘れたい過去なのかもしれない
「んー、風呂でも行こうかな?」
圭は、そう呟いた
因みに、金は持っている。
日雇い等で働いて生活費を稼いだりしているからだ。
家がなく、維持費等を払うことがないので多少の余裕はあった。
ならば、寝るのに夜だけ安いホテル等に行けばいいのだが
圭自身は、寝るだけに金を払うのはバカげてる、と思っているのでその気はないようだ。
「さて、そろそろ銭湯に向かうかな」
圭はそう言ってベンチから立ち、ベンチの下に置いてあった自分のバックを背負った。
「えーっと、確か銭湯はあっちだったかな……」
圭はそう言いながら歩きだした。
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