◇・始まり・◇

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* * * 「シオン!次アレ食いたい!!あのカンリンカパフェ!!」 「さっきの店で、三ほど召し上がったばかりではありませんか?!!」 「むぅ~!!パフェ十個!!残り七ツッ!!!」 「(パフェで手を討ったのは間違いだったかな?)」 王都の町並みは、驚くほど賑やかだった。流石中立国といったところか、町行く人々の中には判りずらいが魔界の者もいるし、建ち並んで居る店には魔界に本店があるものもある。 「それにしても、本当に中立国何だな……」 「どうしたんですか?今更…」 「中立国と言っても結局『魔族を迫害してんのかなぁ~?』って思っていたから…」 「そうですね。まぁ、隠しているのが、少し気になりますが……」 さっきから、俺達の横を通る人達の中には、魔族である獣族(([ジュウゾク]人が言うところの犬や猫等が、通常の十倍から十五倍大体二,三メータあり、ある程度の魔力と知能を持った者の事。小さい犬や猫の姿をしたり、人間に変化出来る。因みに、獣族と人間のハーフが半獣族である))やら、吸血族(([キュウケツゾク]続に、吸血鬼と呼ばれる者の事。この種族は更に枝別れする))など人に完璧に変化出来る種族だったり、人の姿に近い者しか見かけてない。 「……気になるって言えば何でシオンは、朝からずっと敬語なんだよ」 (ゲッ。気付いてないかと思っていた…) 「ぇ゛~~とあっと!!……シオンはな、敬語キャラなんだよ…」 「…………ふぅ~ん……」 シオンの苦し紛れの言い訳。 カイリはただ、シオンを見ているだけで怒鳴る事も、悲しそうにする訳でもなかった。 そんなカイリの無言の圧力に負けてか、シオンの顔は段々引きっていった。 「パフェ十個追加」 カイリはにんまり笑った。 「わぁ~ったよ!!」 やけくそ気味に返事をしながら、シオンは昔使っていた残りの金が足りるかと、既に宿代と前の買い物で少し軽くなった、革の財布の口を開けて中をじっと見た。ギリギリ足りそうだ…。
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