1303人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
「シオン!次アレ食いたい!!あのカンリンカパフェ!!」
「さっきの店で、三ほど召し上がったばかりではありませんか?!!」
「むぅ~!!パフェ十個!!残り七ツッ!!!」
「(パフェで手を討ったのは間違いだったかな?)」
王都の町並みは、驚くほど賑やかだった。流石中立国といったところか、町行く人々の中には判りずらいが魔界の者もいるし、建ち並んで居る店には魔界に本店があるものもある。
「それにしても、本当に中立国何だな……」
「どうしたんですか?今更…」
「中立国と言っても結局『魔族を迫害してんのかなぁ~?』って思っていたから…」
「そうですね。まぁ、隠しているのが、少し気になりますが……」
さっきから、俺達の横を通る人達の中には、魔族である獣族(([ジュウゾク]人が言うところの犬や猫等が、通常の十倍から十五倍大体二,三メータあり、ある程度の魔力と知能を持った者の事。小さい犬や猫の姿をしたり、人間に変化出来る。因みに、獣族と人間のハーフが半獣族である))やら、吸血族(([キュウケツゾク]続に、吸血鬼と呼ばれる者の事。この種族は更に枝別れする))など人に完璧に変化出来る種族だったり、人の姿に近い者しか見かけてない。
「……気になるって言えば何でシオンは、朝からずっと敬語なんだよ」
(ゲッ。気付いてないかと思っていた…)
「ぇ゛~~とあっと!!……シオンはな、敬語キャラなんだよ…」
「…………ふぅ~ん……」
シオンの苦し紛れの言い訳。
カイリはただ、シオンを見ているだけで怒鳴る事も、悲しそうにする訳でもなかった。
そんなカイリの無言の圧力に負けてか、シオンの顔は段々引きっていった。
「パフェ十個追加」
カイリはにんまり笑った。
「わぁ~ったよ!!」
やけくそ気味に返事をしながら、シオンは昔使っていた残りの金が足りるかと、既に宿代と前の買い物で少し軽くなった、革の財布の口を開けて中をじっと見た。ギリギリ足りそうだ…。
最初のコメントを投稿しよう!