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「あら?お客さん達学園は行かなくて良いの?二人仲良くサボり?」
カイリが六件目のパフェ店の"抹茶とチョコレートパフェ"を慎重に一口、一口食べていた時だった。急に二十代後半位の女性店員さんが、話し掛けてきた。
言葉からしてカイリとシオン二人に対して話し掛けているようだったが、シオンをしょっちゅう見ている事から、目的はシオンだろう。
カイリは一瞬パフェを食べる手止めたが、店員を見て次にシオンを見ると、またパフェを食べる事に集中した。
パフェを再び食べ始める直前に、カイリの口が『ご愁傷様』という形に動いたのを横目に、シオンはこれをどうするかと考えていた。
「私達旅の者でして、昨日の夜中にこの国に着いたばかりで…」
「あぁ、まだ学園の転入日ジャないのネ。何処からきたの?」
「インテリ海の向こうの和と言う島国から来ました」
「へー。だからお二人とも髪が黒いんですね。あっ、でもお客さんは目の色が違うわ」
そう言いながら目を覗き込む店員にシオンは鳥肌が立ったが、それを表に出さない様に一生懸命笑顔を作った。シルバは今、念のためにとスプレーで髪を染めて、髪の色を黒・目を赤色という簡単な変装をしている。
(因みにシルバは魔力封印は、ルヴェルディ程無いので魔具を五つ付けています。丸いピアスを左耳に三つ右耳に二つどれもルヴェルディが付けている魔具と同じはたらきをする物)
「母方が、アイシャー出身だったんですよ」
「アイシャー!!それジャ国際結婚だったのね!!素敵!!」
何が素敵なのかいまいち理解に欠けたが、シオンは一応愛想笑いした。
「ねぇ!もし良かったら私がこの国の案内しましょうか?」
店員はシオンの左腕に、胸を押し付けるように抱き着いてきた。
(正直止めて欲しい)
「私顔広いから、この王都内だったら何処でも案内出来るよ」
なをも胸を押し付ける店員。
とうとう、俺は引き攣った笑いしか出来なくなった。
「例えばぁ~ランリ国立リフォル魔法学園とか?外国にはあまりないから、面白いと思うよ?」
(なんで一番始めに進めんのが『魔法学園』なんだよ!!)
ガタッ
と心の中でツッコミを入れたのとほぼ同時だった。隣で席を立つ音がしたのは。
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