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見上げる門は大きく
嫌な威圧感があった。
「どうするんだ。カイリ」
「この威圧感嫌ぃ。取り敢えず、壊す!!」
「あははッ、良いな。その考え賛成」
どうせ、さっき調べでこの門には、インターホンもカギも無いって解っているんだ。
そもそも、そんな無意味な門を創った学園側が悪い。門は中にあるものを守るからこそ門なのだから。
「つぅ事で壊すから。後処理はこっちでするから文句無いよね」
カイリは門に付いている、監視カメラに向かって言った。
あのレンズの向こうに人が居るのか、疑問だったが言わないよりはましだろう
「シオン。修復はよろしく!」
「分かってる」
シオンはニヤリと笑った。
俺の言った『修復』って意味を理解しているみたいだ。うん。問題なさそうだ。
今俺が使える魔力量は、本来の量の一にも満たない。だから、此処は魔力質で勝負するか……。
「よし、シオン下がって」
俺が静かに言うと、シオンは無言でゆっくりと下がった。
「風よ…」
カイリの周りに風が纏い付く。
風の初級魔法。
後はこれでこの"魔法の真名"を唱えれば終わりなのだが、俺は自分自身に纏わり付いている風を、右手の手の平に集めた。少しずつ少しずつ、 集まった風を小さな球体にしていく。
魔力が凝縮して、キュルキュル音をたてていくのが分かる。
球体を大体野球ボール程にすると、野球ボールを投げる要領で大きく振りかぶった。
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