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「何ッ!!あの方がいないだと!!」
城内のある部屋の一角で、白髪の若い男性が叫んでいた。
「はい、ベル様。メイドのリータの報告によりますと、昨日の夜からルヴェルディ王子は、護衛零番隊・隊長シルバ殿と共に見かけていないそうです」
男性の反対側にひざまずくように座っていた少年は一瞬その声に、驚いた顔をしたが直ぐに無表情になった。
「昨日の夜!!今はもう今日の昼ではないか!!何故そうなるまで我に報告しなかった!!」
「畏れながらベル様。ルヴェルディ王子はシルバ殿と、夜出かけ朝帰って来るという事が度々ありまして、今回もそのようなものかと……」
「わかっている!!それ位!!あの方が、どれだけ我等にとって大切なのか!!わかっていないのはあの方だけだ!!………魔界を隅々まで捜せ!!必ず見つけろ!でないと……」
「うわぁああん!!ヴェル君がいないよぅ~~!!!!!」
廊下の向こうから聞こえる声は、絹を裂くような声で、聞くだけでこちらまで悲しくなるようなものだった。
「魔王様!!ルヴェルディ王子は我々が捜しますから!!」
「そうです!!大人しく仕事を片付けて下さい!!」
続けて聞こえる声は、二人とま似た音程と音調。双子なのだろう。
「魔界は破滅だ!!(魔王が働かないため)」
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