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真夜中のレンガ造りの家が続く家の街のちょうど、中心に位置する時計塔の屋根の上に二つの人影があった。
人影は特に何をするわけでもなく、ただそこに立ったずみ下の街並をじっと眺めていた。
「此処が下界か……」
そう呟いた十六歳前後の少年の髪は、月明かりに照らされてキラキラと綺麗な金糸色をしていた。
「そうですよ。ルヴェルディ王子様」
少年と同い年位の銀糸色をした髪を持つ少年が、静かに少年に答えた。
だが、金糸の少年は銀糸の少年の答え方が気に食わなかったのか、ムスッと顔を歪ませた。
「シルバそれ、やめろつったはずだ」
金糸色の少年は暗闇の中で、その蒼き瞳を光らせながら言った。
「すみません」
「シルバ……わざとか!?」
「あっ、わりぃ。癖が付いたみたいだ」
「ふんっ!!」
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