◇・始まり・◇

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* * * チュンッ、チュンッ 遠くでリトルノームの鳴き声がする。 ――あれ?俺の家(魔王の城,ヴィラ城)の近くってノーム種の生息地だっけ? チュンッ、チュンッ ――それに何か…鳴き声が少し弱々しい気が…… リトルノームは 毛深く丸くコロコロとした、可愛いらしい小さい動物で常に群れで行動している、人懐っこい魔獣だ。 (本当はルヴェルディと魔王に懐いているだけで、本来人に懐かない狂暴な魔獣。魔王とその息子のルヴェルディに、ほとんどの魔獣は忠誠を示すか、懐くため二人の頭の中での魔獣の意識は人懐っこい可愛い奴。) 「カイリ…カイリ起きろ」 シルバの声がする。 その事を認識した途端、急に空にかかっていた雲がのくかの様に、頭が冴える感じがした。 ――あぁ、そう言えば俺下界に降りたんだっけ……じゃあ、さっきの鳴き声はリトルノームじゃ無くて、下界でいう雀の鳴き声かな?……リトルノームみたいに可愛いのかな? 『見てみたい』 「なぁ、シルッ!!!」 『シルバ』と呼ぼうとしたら、シルバに片手で口を塞がれてしまった。首をまわしてシルバに何事かと聞こうにも、当の本人は頬を薄く染めるばかりで、何も言おうとしない。 ――何だ。 息なりこんな事をされてもパニックに成らないのは、きっと長年の付き合いであるためと、シルバがふざけた顔ではなく、真剣な顔をしているためだろう。 ――シルバ?
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