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「何って。飛び降りようと思って」
真っ青な空の下、俺も負けず劣らず顔を青くした。
原因はさっき教室の窓から女が屋上にいるのを、そして今にもソイツが飛び降りようとフェンスの向こう側にいるのを見たからだ。
「ざ、けんなっ……俺が死なせ、ねぇっ」
大事な所で言葉が途切れ途切れになる。生きるために肺が酸素を取り込もうと必死に足掻いているのが分かった。
俺は重い足を引き摺ってフェンスまで行く。少し大きめに空いた隙間から腕を通し、女の腕を強く掴んだ。
「君のこと知ってるよ。凄く有名人、問題ばっかり起こす超不良。だけど無遅刻無欠席で真面目くん……西嶋雄祐」
初めまして、と呑気に挨拶する女につられて一瞬返事を返しそうになる。それどころじゃねぇだろ俺!
「自殺とか、馬鹿なことす……んな、よ」
相変わらず肩で息をする俺が可笑しかったのか女は思いっきり笑った。
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