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帽子とフードの乱れを整えた。
静かに降りたためか誰も気付いてくれないから、口を開けた。
「ハロー、僕は詐欺師。僕は軽佻浮薄な男さ」
そう言って右手を前に頭を下げた。これは僕流の挨拶。
「詐欺師!」
「ラン!」
みんな気付いてくれたようだった。
「ラン!お前どうしたんだよ!?俺らは心配してたんだぞ!」
お父さんみたい…。
ヨウは僕の傍に駆け寄ってきて、肩を痛いくらいガッチリ掴んで揺さぶってきた。
「ごめんね、僕は生きてたよ。あと、はいっ!」
ヨウに僕はネックレスを渡した。渡されたヨウはそれを見てビックリしたようだった。
「…どういう意味か分かってるのか!?」
怒るヨウ。
無理もないはずだ。総長の証であるこのネックレスを取るというのは総長の座を下りるということ。
「今日から僕はFakerを辞めてただの一般人だよ。僕はヨウが総長になってもいいと思うな」
ポケットに右手を突っ込んで煙幕玉を握ったところでレンに左手を捕まれた。
「なんで辞めるんだ?失踪してたわけは?」
「んー…受験勉強してたの。僕、高校に入学したんだ!だからかなぁ?」
そう言ったらみんな、ざわつき始めた。
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