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タクとヨウは帰っていって、僕は寮監に外出許可をもらうことと自転車を借りるために寮監室前にやってきた。
とんとんと叩くと、ドアが開いて寮監の眼鏡男前受けの田川新(たがわあらた)がいるはずだった。
「…寮、長?」
遠くから見るだけで、僕は入学して以来話したことがない銀髪の王子様こと祝原崇(いわいばらたかし)。
こう見えてCROWの総長だったりして、もうここは総長(崇)×副長(夜)!
「君とは初めましてかな?寮監は今彼氏と外出中だよ」
か、彼氏?!
どこにいるんだよ彼氏ぃいい!
「ところで君はなにをしに来たの?」
「あ、僕は外出許可と自転車を借りにきました」
「ああ、ちょっと待ってて」
寮長は名簿を持ってきて確認しだした。
「…えっと学年と名前は?」
「2年の若狭藍です」
「あ。あった」
寮長は名簿に丸をつけて、僕に自転車の鍵を渡した。
「夜の11時までに戻ってきてね。自転車は置き場に置いて、鍵はそのときに返して」
ホントに総長だなんて思えないよ。
「ありがとうございました」
「どういたしまして」
キラキラと王子様スマイルで僕の手を取って、唇を落としてきた。
「へ?」
「似てるね、ランに」
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