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レンは胸ぐらを掴んでいる僕の手首を握ってきた。
握り潰されるんですね分かります。
「別にお前が邪魔とか言ってねぇ。悪かったな」
デ、デレキター!
僕が青いツナギのいい男だったら間違いなく、やらないかって言ってる。
「まぁ、威勢がいい奴は好きだぜ」
ちょ…告白ならハルちゃんにお願いしますね。
「タクのお気に入りだったら、僕の呼び方も納得出来るね」
ウミにうんうんと勝手に納得されてしまい、なんとか危機は逃れた。
こんなスリルは僕じゃなくてハルちゃんが味わえばいいのさ!
…まぁ、タクのお気に入りって浸透してるのが気に食わないけど。
「ああ、タクのお気に入りだったな。どこまでヤったんだ?」
な、なんて聞き方がストレートなんだ…!
ウミは呆れたような視線をレンに送っているのに、当の本人は気にしていない。
「ヤるヤらない以前に、付き合ってたりはしてないんですけど…」
キスされたりしたけど、タクはハルちゃんが好きだけど自覚してないだけさ!僕なんかは対象外!当て馬の利用大歓迎!
ああ、自分の考えてることが分からなくなってきたぜ!
「…でも、まだ探してるんだよな」
レンはどこか遠くを見ているような目をして、ボソッと呟いた。
『次は岡原駅です』
もう岡原駅か。早いな…。
岡原駅になればある程度人が増えるだろうし、2人も降りる。
少し安心していると、電車は停車した。
「じゃあな、タクのお気に入り」
「バイバーイ」
2人は降りるために立ち上がった。
そして、僕はふと扉を見て驚いてしまった。
僕のよく知っている人物がホームにいたからだ。
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