1::張三李四:チョウサンリシ

40/51

3226人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
  扉が開いてレン達は降りていく。 そしてホームにいる憂斗(ゆうと)は手を上げて僕に向かって"久しぶり"なんて口をパクパクさせていた。 僕にニコリと笑い掛け、電車は再び発車。 憂斗は(リバな)僕の弟。 僕はFakerだったけど、弟はBatだ。 Batに入った後で、僕がランだと知ったらしく僕にBatに来いなんて言っていたけど。 そして、僕は憂斗には隣の県の学校に通うなんて適当なことを言って休みの間だけ会っていた。 全寮制の男子校なんて、憂斗に反対されるから黙っていたんだ。 母さん達にも口止めをしていたはず。 …でもバレてるよね? というか、なんでレン達は憂斗に会いに行ってるの? もしかして、もしかして!! 3人でよろしくな感じ!? …憂斗は僕が好きだとか訳が分からないことを言ってるから、これはないよね。 そして、あの性格のレンがわざわざ憂斗に会いに行くなんて考えられない。 そういえば…憂斗は今年から高校生だ。どこに入学したんだろう? 香陵じゃなくて唯がいる櫻李だったらいいのに! ふいに胸ポケットの携帯が振動してメールの着信を知らせた。相手は憂斗だ。 "レン達の前だったから我慢したけどびっくりしたよ 香陵にいることを黙ってなくてもよかったのに! 俺はどれだけ兄ちゃんを想っているか…" もう小説の3ページ分くらいに延々と言葉が続いている。 BL小説でもないのに長々と読みたくなかった僕はロクに内容を読まずに、ごめんねと適当な返信をした。  
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3226人が本棚に入れています
本棚に追加