1::張三李四:チョウサンリシ

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  渋々、マイクを握ったおぶっちーの元へ行くと生徒会役員が近い。 有り得ないよ、おぶっちー!副会長のあとのマイクでやめてよ! 「若狭ー、お前忘れたわけじゃないよなぁ?」 青筋が立つおぶっちー。これは逆らったら駄目だ。 死亡フラグが立ちまくりだよね。 「嫌だなぁ。忘れてませんよぉ」 「俺も面倒だからな、ここで用件だけ…」 「あ、去年の外部生くんだー」 おぶっちーが言い掛けると誰かが遮った。おぶっちーに後ろから巻き付いているのは生徒会会計の柳ヶ浦拓也(やなぎがうらたくや)。 赤メッシュのピアスだらけのチェシャ猫みたいな笑い方をする人。カッコイイのはカッコイイが行動が猫みたいに気まぐれなのに勘が鋭い。 …うん、Fakerの幹部だ。 だから接触したくなかったんだよね。 タクのことだから僕のことなんて忘れてるだろうけど。 「5年振りの外部生だって言うから君に会いたかったんだけどー、会えなかったんだよねぇ…よろしくね、若狭藍君」 僕を見て怖いくらいニンマリと笑うタク。 タクに関わったら、僕の努力が水の泡。 「初めまして、柳ヶ浦先輩。僕は地味なんで見つけられなかったかもしれませんね。よろしくお願いします」 頭を下げるときに、右手を前にしそうになって手を後ろにやった。 「…そうそう、今年も外部生がいるんだー」 恐らくあの変装っ子だ!! 「部屋1つ空いてるだろ?」 おぶっちーに言われて思い出した。僕の寮部屋は1人で部屋が空いている。 まさかまさか…! 「お前、その外部生と相部屋な。嫌かもしれないけど面倒見てやってくれ。寮前のベンチにいるはずだから迎えに…」 「全然!嫌じゃないってかむしろ嬉しい!1人も寂しかったし、頑張って面倒見ます!ああ、相部屋ありがとう!おぶっちー好きだよ!」 引き気味のおぶっちーに抱きつき、おぶっちーから離れるとダッシュで寮前のベンチに向かった。 今なら世界新記録が出ると思う。  
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