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「シグレさん、宜しくね。」
「え、ええ。」
そして手を差し出すカノウ君。ちょっと待て、今時握手を求める高校生なんているの?
それとも椅子を引いた紳士的な私に対抗しようとしているの?
適当にやり過ごす事はできず、カノウ君の手を握る。
本当は、関わりたくないくらい、後ろの存在が恐い、んだけど。
冷たい手だった。
「暖かい手。」
「は、はぁ…。」
なんという臭い台詞。
戸惑いを隠せない。なんていうか、申し訳ないけど受け付けない。
女子達は羨望の眼で私を見つめる。
そして、彼の背後に目をやる。声にならない声が全身の毛穴から吹き出た気がした。
汗が、止まらない。
震えないように気をつけているけど机の下の足はがくがく震えていた。
「どうかした?」
「いや、なんでもない。」
カノウ君は、微笑む。
その笑みが少し不気味に見えた。
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