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「死にたい?」
「どちらかといえば生きたいかな」
へらり。
いつまでも、へらりへらり。
少女はため息をつくしか、
できなかった。
「勝手にすれば」
もともとこの家は少女のものではない。
あくまでも拠点だ。
少女はどうやら、
腹をくくったらしい。
ある種の諦め。
また、ある種の好奇心。
「なら勝手にする」
「生活費は自分で頑張れ」
「ひどい」
へらりと笑った男を、
不覚にも煩わしいとは思わなかった。
早くも侵食された。
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