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「あんた名前は?」
「おれの名前は?」
「聞き返すなよ」
「おれは、」
名前なんてしらないからね。
事も無げに告げられた。
少し、面食らう。
男はどっこいせ、と座り込む。
やはり怪しい。
言わば変人か。
「私も、名前はないよ」
「おや、仲間仲間」
「死ね」
「あんたほんとに口が悪い」
男はへらり、
ではなく、
けたけたと笑った。
楽しそうである。
真逆に、
少女は眉を寄せた。
不機嫌そうである。
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