初恋

2/22
5759人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
  ずっと、追い掛けていた。 どこか影があって、少し寂しそうな、だけど優しくて力強いその背中を。 そうありたいと願っていた。 だから俺は、今のあいつが許せない。 へらへらと作り笑いなんか浮かべてさ。 王子だなんだって、持て囃されていい気になって。 面白くない。 なんか、裏切られた気分。 その化けの皮を剥いでやろうか。 その居心地の良さそうな場所を奪ってやろうか。 「次」 「1年2組、武近虎太郎です。よろしくお願いします」 そんな、歪んだ気持ちで一歩を踏み出したのがきっかけ。  
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!