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「優奈ちゃーん!」
にこにこと笑顔を作って手を振れば、駆け寄ってくる馬鹿な女。
きっと俺に何の疑いも持ってないんだろう。
友達はあんなにも疑いの眼差しを俺に向けてるっていうのに。
「あ、会長と副会長だ」
勿論、これも計画のうち。
タイミングを見計らって来た訳だけど、無邪気なフリして手を振る。
「かーいちょーっ!!」
鬱陶しそうに眉をひそめてこちらを見上げる会長に、心の中でほくそ笑む。
「あ、ほら!気付いたよ」
香月の肩を引き寄せて、わざと密着して見せ付ける。
……小さくて華奢な体。
ふわりと甘い匂いがする。
鼻をつくような、どぎつい香水の臭いとは全然違う。
不覚にも、ドキッとしてしまった。
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