一章 日常からの乖離

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 翔は横で笑みを深める大地に軽く視線を向け、 「お前がそういう態度ってことは女か?」  そう問いかける。  すると、大地はイヤらしげに口を歪ませ、親指を立てていた。 「昨日見たってやつがいてな、かわいかったらしい。しかもだ帰国子女なんだと」  誇らしげに言い放ち、随分と楽しそうにしている。 「帰国子女に加点要素があるのかは謎だけどな」 「なんか言ったか?」 「いや、まぁどうでもいいさ」  と、そんなに興味のない様子で翔は歩き続けている。  そのそっけない態度に不満げな顔でまだ何か言いたそうだったが、それについては見なかった事にしていた。  すでに学校の門は目の前。 「時間がやばいな、少し急ごうぜ」  腕の時計ではすでに八時二十六分。三十分からホームルームが始まるので間に合わないかもしれない。 「そんなに気にすることないだろー。ゆっくりいこうぜ」  と言って大地についてくる気配はない。 「先行ってるからな」  翔が駆け出した瞬間『待ってくれよー』と聞こえたが、翔はそれを空耳だろうとあっさりと切り捨てた。  大地を置いてきぼりにしたまま校舎の中に入り、なんで一年は四階なんだよ、と毒づきながらも階段を駆け上がる。 「ぎり、かな」  と呟きながら教室の扉を開けた。  教室の中には生徒たちが思い思いの場所でくつろいでおり、自分の机に座って話している人や、朝食を本に目を通しながら食べている人もいる。  端の方では三人の女の子が集まって談笑していたのが見えた。 '
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