侵食

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「このストラップかわいい!」 真美が指差した先には、何をモチーフにしたのかよくわからないキャラクター達が変なポーズで商品棚からぶら下がっていた。 これが俗に言う"キモカワイイ"というヤツなんだろうか。 「買ってあげようか?」 「いいの? ありがとう!」 「好きな色のヤツ選びな」 オレがそう言うと、真美はしばらく悩んでから、同じキャラクターのストラップを色違いで二つ手に取った。 「二つも?」 「徹くんとお揃い♪ …だめかな…?」 「そんなことないよ」 真美が不安そうな顔をしたので慌ててそう返した。すぐに笑顔を取り戻す真美。かわいい。 そしてオレの携帯には、やはりどこが魅力なのかよくわからないストラップが付けられる次第となった。 でもいい。真美と同じストラップ。これを見る度に真美と時間を共有できる。そう思った。
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