侵食

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雑貨店を出たオレ達は、どこで昼食をとるか談議していた。 「あの店のパスタおいしいらしいよ? この前雑誌で紹介されてた」 オレは普段その手の雑誌は読まない。もちろんこの日のために情報収集しただけだ。少しでも真美に楽しんでほしい。その一心だけ。 「…うーん、でも混んでるね」 確かに雑誌に紹介されるだけあってか、その店は満席のようだった。 「じゃあ、あっちの店は…」 ―――結局店が決まったのは談議開始から一時間後だった。 無論その間にいろんな所を見て周ったりはしたが。 小洒落た雰囲気の和食レストラン。ちょうど席も空いていた。 「わぁ、すごくおいしそうだね」 真美が目を輝かせた。即座に店に入っていく。 やはり事前に調べておいて良かった。 でも。 彼女が喜んだ理由、それを想像するのはあまりにも容易すぎた―――。
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