153人が本棚に入れています
本棚に追加
―初めての夜の行為は心臓が張り裂けるほどに燃え上がった。
オレのぎこちない動きにも彼女はちゃんと反応してくれた。その度にオレの心臓は高鳴り、二人が果てるまでにそう時間はかからなかった―。
―深夜、ふと目覚めたオレ。
…隣にいるはずの真美がいない。オレはトイレに行きたかったので腰を起こした。
「…真美もトイレかな…」
しかし彼女はトイレにはいなかった。
彼女は冷蔵庫の前にいた。
「お茶でも飲むの?」
オレが声をかけると彼女は振り返った。その姿にオレは引きつった。
「 ナ ッ ト ゥ … 」
彼女は納豆を食べていた。
手掴みで。
口元を納豆で汚し、うつろな瞳でオレを見ていた。
「 オ イ シ イ ヨ … 」
そう言って手に握った納豆をこちらに差し出してきた。
「 ト オ ル ク ン ニ モ ワ ケ テ ア ゲ ル …」
「真美!? どうしたの、寝ぼけてるの!? とりあえず手、洗いなよ」
彼女の手から納豆のパックを取り上げ、手を洗わせた。
彼女は相変わらずうつろな瞳で排水溝に流れていく納豆を見つめていた。
「 モ ッ タ イ ナ イ … 」
その後オレは彼女を寝かしつけた。でも、納豆と連呼する真美の姿が脳裏で何度も再生され、結局オレは眠ることなく朝を迎えた―。
最初のコメントを投稿しよう!