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昨夜の出来事はなんだったのか、オレはなんだか怖くなっていた。
「おはよう徹くん」
真美が満面の笑みでこちらを見ている。
…何も変わったところはない。
そうだ、あれは夢だったのかもしれない。昨日の夕飯で真美が納豆をおいしそうに食べていたのが印象に残っていたに違いない。そう思い、
「ああ、おはよう」
笑顔で彼女に返した。
今日は日曜。楽しいデートも待っている。前々から観たい映画があったので、二人で観に行く約束だ。
「麦茶もらっていい?」
なんだか喉が渇いていたオレは冷蔵庫を開けた。
…夢は一瞬で打ち砕かれた。
冷蔵庫一面の納豆。
納豆納豆納豆…
納豆しか目に映らない。
パックの量に驚いたのではない。
驚いたのは、豆そのものが冷蔵庫の壁にビッシリと張り付いていたことだ。
「真美…これは一体…」
オレが振り返ると真美は笑顔でこう答えた。
「 タ ク サ ン ナ イ ト コ マ ル デ シ ョ … ? 」
「でもこんなに…」
オレがそう返すと、彼女はさらに口角を上げて言った。
「 ダ イ ジ ョ ウ ブ … ト オ ル ク ン ノ ブ ン モ ハ イ ッ テ ル カ ラ … 」
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