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頭の中が真っ白だ。
何を言えばいいのかわからない。
長い沈黙―。
それを打ち破ったのは、真美だった。
「なんてね! ビックリした?」
「え?」
「よく見て。その豆、ツクリモノだよ?」
壁に触れる。それはプラスチックの感触だった。よく見ると豆と豆の間は透明なシート状になっていた。
「でもなんでこんな…」
「イ タ ズ ラ ♪」
真美は子供のように無邪気に笑っていた。
「しゅ…趣味悪いよ真美っ!」
真美の頭を小突く真似をする。
そう、なんてことはない。
その日のデートはとても楽しかった。日々の嫌なことなど全て忘れてオレ達は休日を満喫した。
―でもオレはあの時疑問を持つべきだった。
ざっと数えた納豆のパック数に。
20個。
…一人暮らしにしては多すぎる。
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