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目を見開いたままの屍。
刀から滴り落ちる
つい先ほどまで言葉を交わしていた男の血。
「……ごめんなさい…、おじさん……
ごめんなさい…ごめんなさい……
あたしは……
貴方に何も恨みなんてないんです
だけど…貴方を殺すことが、
あたしに来た依頼だったから……
殺し屋に来た…依頼だったから……」
刀に付いた血を振り払い、鞘に収めた後、亡骸に向かって丁寧に手を合わせる。
…が、すぐに少女は耐えきれなくなり
その場に嘔吐した。
――仕事の後は、いつもこう。
血の臭いが、
罪の意識が。
そして
何年経っても抜けない迷いが。
溢れ出るようにして少女を苦しませる。
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