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「えーっ?
二日間続けて?良いなあ平助……」
「でしょ?
だから朝っぱらから総司に甘味なんぞに付き合わされて、一日を無駄になんてしたくないの、俺は!!」
駄目押しの催促に、机の上を軽く叩いて見せると、総司――本名、沖田総司――の顔を見上げた。
「あっ、平助静かにっ
……なんか表が騒がしくありません?」
「はあ?表?」
沖田は藤堂の訴えなど全く聞いていなかったようで、白玉が入った状態である口を、むぐむぐと動かしながら店の外に神経を集中させている。
口に子供のようにあんこを付けながら、目だけは真剣に外を見つめている沖田の姿を滑稽だと思いつつ、言われた通りに自らも店の外へと神経を集中させる藤堂。
――確かに、何時もの京の賑わいとは少し違う様子である。
人々の心配そうな声。
誰かが小さく上げる悲鳴。
「本当、だ……なんかあったのかな」
「行ってみましょう!!」
沖田が目を輝かせながら店を飛び出す。
「ちょ、え!!総司っ!!
勘定ーーーーーー!!
この量俺に払えって言うの!?
ばかーーーーーっ!!」
藤堂が叫ぶも、好奇心旺盛な沖田は既にもう見えなくなっていた。
「うっそー…本当に!?
畜生、総司の野郎ぉお……
後できちんと返してもらわないと!!」
藤堂は渋々勘定を済ますと沖田を追った。
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