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真っ赤。
真っ赤で綺麗な、花。
それが、見た瞬間の印象。
細い路地に咲いた
まるで椿の赤のような。
だが、
それが大量の人の血だと分かるまでに
時間はかからなかった。
その赤に埋まるようにして
三人の人間が倒れていたからだ。
「死んでる……のか?」
「まだ新しそうです、確かめましょう」
沖田の言葉を合図に
二人は倒れている者達の息をみる。
「……こちらの二人はもう死んでますね
この……笠をかぶった人は気を失っているだけみたいです。」
「……どうする?」
「とりあえず、この人だけ屯所に持って帰って話を聞きましょう、
長州と関係あるかもしれませんし。」
「了解」
沖田は血まみれな笠男を担ぎ上げる。
と、そこである疑問を抱いた。
「……あれっ何で私が持ってんだろ?
今の会話の流れからして、了解って言った平助が担ぐべきですよね?
ちょっ、平助が持ってくださいよっ!」
自ら進んで笠男を担いだはずの沖田が
またもや阿呆な発言をする。
「おま……
人に甘味の勘定押しつけといてソレ?
てか総司が進んで担いだんだろ!
……という訳で、
あなたが責任持って運びなさい。」
沖田が不満げな表情をするが、
藤堂は無視して歩き出す。
「平助のけちんぼ!!
勘定ぐらいでぐちぐちと~
武士の風上にも置けないですねっ!」
「なっ……!!
このやろっお前もそんぐらいで
ぐちぐち言うなあ!!」
ちゃんと大人であるにも関わらずに餓鬼のような言い争いを始めた二人は、
あれ?軽いなあ……という沖田の不思議そうな声に落ち着きを取り戻すことになった。
「……軽い?」
「はい。この人、男にしてはずいぶんと軽いんですよ。
身長も低いし、腕も細い。」
沖田は笠男を担ぎ上げながら答える。
「子供なのかな?」
「えー、子供がこんな良さそうな刀持ってますかあ?」
沖田は笠男の腰にささっている刀を、ちらりと見やる。
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