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沖田が土方の部屋を出ると、廊下で待っていた藤堂が心配そうな顔を向けた。
「平助、土方さんが医者に見せても良いって!」
笠男を担ぎながら、笑顔で医者のいる部屋へと歩き出した総司に、
藤堂は慌てて声をかける。
「……責任はお前がとれって言われてたけど大丈夫なの?」
「大ー丈夫ですよ。
私はもう立派な大人なんですから。
こんな男一人も手に負えないようじゃ、隊長なんて務まりませんって。」
沖田はサラッと言い放つと
すたすたと歩いて行ってしまった。
なんか大人になったなあ……、と
同い年であるにも関わらず親みたいな言葉が頭を掠めた藤堂は、
心の中で、さすが一番隊隊長!!と
沖田の背中に声をかけ、後を追った。
新選組一番隊隊長である、沖田総司。
そして
新選組八番隊隊長である、藤堂平助。
こうして、二人の若き幹部は
正体不明の笠男と何らかの縁(ゆかり)の糸で繋がることとなった。
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