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「いやあ、すごい血だねえ……」
驚きの声をあげるのは
健康診断に来た医者だ。
「いや、私が思うに、多分この血の全てはこの人のじゃないと思うんです。
側に二人倒れていたんで大半はその人達のじゃないかと。」
沖田が笠男を布団の上に下ろしながら言う。
「笠とってやった方が良いんじゃない?」
「……あ、そういえば。
ずっとかぶったままでしたね。」
藤堂に言われ、沖田が慎重に笠をとる。
そのことにより、今まで隠れていてよく見えていなかった顔が露わになった。
――ふわりと笠の中から出た、
ひとつ結びにされた黒くて長い髪。
まだ幼さの残る顔立ちと、消え入りそうに細い輪郭。
頬にべっとりと付着した血の跡だけが、
何とも異様な雰囲気を醸し出している。
「………………若っ!!」
「なんか弱そーう………」
自分たちが勝手に想像していた人物とは全く違い、思わず二人は見入ってしまった。
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