めぐり逢い

13/17
前へ
/261ページ
次へ
―――――――― ――――― 「いやあ、すごい血だねえ……」 驚きの声をあげるのは 健康診断に来た医者だ。 「いや、私が思うに、多分この血の全てはこの人のじゃないと思うんです。 側に二人倒れていたんで大半はその人達のじゃないかと。」 沖田が笠男を布団の上に下ろしながら言う。 「笠とってやった方が良いんじゃない?」 「……あ、そういえば。 ずっとかぶったままでしたね。」 藤堂に言われ、沖田が慎重に笠をとる。 そのことにより、今まで隠れていてよく見えていなかった顔が露わになった。 ――ふわりと笠の中から出た、 ひとつ結びにされた黒くて長い髪。 まだ幼さの残る顔立ちと、消え入りそうに細い輪郭。 頬にべっとりと付着した血の跡だけが、 何とも異様な雰囲気を醸し出している。 「………………若っ!!」 「なんか弱そーう………」 自分たちが勝手に想像していた人物とは全く違い、思わず二人は見入ってしまった。  
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!

162人が本棚に入れています
本棚に追加