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教室のドアを開けると、既に赤西が来ていた。珍しい、と思ったのも束の間、気まずい空気が漂った。 わたしの席は窓側の、前から3番目。赤西の席はわたしの隣の列の前から5番目。今日からは補習、教室に生徒はわたしと赤西の二人きり。 赤西からわたしの姿は丸見えなわけで……わたしの背中には赤西の視線がグサグサと突き刺さっているような気がしてならない。早く来てよ、先生。 予定時間から10分遅れて担任がやって来た。 「遅れて悪かったなー」 「遅いんすけどー」 遅れて来た先生に向かって赤西が一言発した。それから先生はもう一回謝って授業が始まった。  
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