11月ハナ

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11月ハナ

 大学の文化祭って昨年まで遊びに来る側だったけれど、今年はやる側になって10倍位楽しさがちがう。私達のサークルの屋台はクレープ。クレープ屋でアルバイトをやっているコに教えてもらって私も焼いてみた。生地を熱した鉄板にのばすのは、教えてくれたコに言わせてみれば、まだまだ未熟で、お祭りだから許されるねって、言われ続けた。  マモルが私達の屋台に来て、サークルのコ達に話かけていた時に、トモヨが来た。トモヨは私の顔を見たけれど、何も言わなかった。トモヨはマモルのことを見ていた。マモルはそのことに気が付かなくて、私のサークルのコ達と話すのに夢中みたいだった。バカなことを言って笑わしているのが、クレープを焼いている私にも聞こえてきた。  トモヨはマモルと話したかっただろうから、私は、マモルにあんたクレープ何にすんのよと声をかけた。そうすれば、マモルはトモヨに気付くはずだから。そうしたら、マモルはバターシュガーで、シナモンかけてとボケてきた。だから、この屋台じゃ、チョコとチョコバナナしか売ってないよと、答えた。そしたら、ゴメンゴメン、じゃあ、チョコバナナのチョコ2倍で頼むと言ってきた。で、私はトモヨはどうすんの?と言ってマモルにトモヨがいることを意識させた。トモヨはマモルと同じものでと言った。  マモルは私達の側にきた。  マモルは私とトモヨに「よう」と言った。そして、クレープ屋のおねぇちゃんは手慣れてきたんじゃないのと言った。マモルは午前中にも来ていたから。うるさいなぁと私は答えた。マモルはさらに、バナナはシュガースポットの出てないやつねと言った。なにそれ?と私。皮に黒い点々が出てないバナナがいいってことでしょ?とトモヨが言った。そうそう、よく知ってんじゃん、トモヨちゃんとマモル。  マモルは少し酔っているみたいだった。  じゃあ、お望み通りのバナナだよ、だいたい目の前にあるじゃんと、私。念のためにきいたんだよと、マモル。
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