９１年

１１月マモル

　俺のサークルは焼きそばだったから、夏の合宿のバーベキューをおとなしくした様なものだった。一度でいいから、たこ焼きを焼いてみたい。プライベートじゃなく、客がいる前で、クルリと回してみたいね。来年は絶対たこ焼きだ。

　サークルも同じではないし、体育の授業が男女が別だし、講義形式の授業ばかりだから自分をハナにアピールするには、ちょうど良かっただろう。小さなことだけど。料理もできるかもしれない男として憶えてもらえたんじゃないかと思う。料理は好きだが。ハナに手料理をごちそうする日はくるかもしれないな。
　クレープ屋のアルバイトが思わぬところで役に立った。

　ハナの焼いたクレープは技術的にはいま一つだけれど、ハナが焼いたものが食べることができただけでも、うれしかった。
　小学校の家庭科の授業を思い出した。人気のある女の子と同じ班になっている男子がうらやましかった。今年はハナの焼いたクレープを食べることができたので、小学校で実現できなかったことの埋め合わせができた気分だ。