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「奈穂、何故あなたはこんな問題も解けないの? 万優ちゃんはいつも100点なのに」
「父さんは頭の悪い子は嫌いだ。奈穂は夕食ぬきだな」
夕食時、両親は9歳の私に容赦のない言葉を浴びせた。
瞳に溜まった涙が今にもこぼれ落ちそうで、上目遣いで堪(こら)える。
「なんだその目は! まったく可愛げげのない子だな! この部屋から出て行きなさい!」
父は追い打ちをかけるように怒鳴った。
すっかり萎縮した私は俯いてダイニングを出る。
テーブルにならんだ温かな3人分の食事、それを囲む両親と、この世の愛を独り占めするかのような天使の微笑みを浮かべる姉、万優。
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