1人が本棚に入れています
本棚に追加
空からは白き雨が降り続いている。
この寒い季節は、これがあるから嫌いにはなれなくている。
「…くしゅっ。」
…天気予報、見とくんだった…。
嫌いになれない白い雨を眺めながら、寒さを凌ぐ方法を模索していた。
無人ホームのベンチに腰掛けながら、自分はこんな事を考えていた。
(…こんな退屈な世界を抜け出して、何処か違う世界に行けたら…)
そんな儚い夢を思うほど、退屈なのか…オレは。
…あ~…眠い。
…まぁ、時間もあるし、少し寝るか…。
-…バカダナァ…-
…え?
-…キミタチハ、ヨクバリナンダ…-
…誰?
-…ボクタチハ、スグにキエテシマウ、ソレシカナイノニネ…-
…良く分からない、でもそんな悲しい事を…。
-…ダカラ、ボクタチハキミヲヨンダンダ…-
…え?
どうして…?
-…タトエボクラガキエタトシテモ、ボクラノコトヲワスレタリシナイデホシイ、
ナニヨリカナシイノハ、【ダレカラモワスレラレルコト】ナノダカラ…-
…でも、君が分からない…。
君たちは一体…!
-…フフ。
ボクラハイマキミノスグソバデオドッテイルヨ…?
ソウ…ボクラハ…-
…はっ…!?
…ゆ、夢…か?
…なんだったんだろう、今の…。
結局…アレは一体…。
握っていた手を開いて、少し考えていた。
……………
-…ヤクソクダヨ?…-
手のひらの上に舞い降りた…白い雨。
…あぁ、そうか…。
ようやく気付けたよ…君たちの事に…。
汽笛の音が、遠くからなり響いている。
その中でも、彼には聞こえていただろう。
彼等の儚い歌声(メッセージ)を。
最初のコメントを投稿しよう!