誰のせい?

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  神威は公園から出て軽やかな 足取りで神楽の下へとむかう。 するとすぐ神楽は見つかった。 なぜか、座りこんでいる。 「…神楽?」 …もしかしたら 泣いてるのかもしれない。 そう思って優しく声をかける。 「うぉっ、神威!?」 だが、 神楽は泣いているどころか 沖田の言葉に 傷ついた様子もなかった。 神威は少しホッとして、 笑顔で神楽に話しかける。 「なにしてるの? 落ちてる物は 食べちゃダメだよ。」 「そ、そのぐらい知ってるネ! ……花が、咲いてるアル。」 神威の言葉に顔を 真っ赤にした神楽だったが、 その表情はすぐに 穏やかなものへとかわり、 再びもとの場所に視線を戻す。 「…え?」 神威は尋ねながら神楽の隣に 座り、神楽と同じところへ 視線を会わせた。 そこには、 彼岸花が咲いていた。 「この花、きれいネ。」 「ああ…そうだね。 俺も好きだよ、この花。」 “だってこの花、 真っ赤な血のようだろ?” そう言おうとしたが、 神威は言葉を飲み込んだ。 ―こんな風にしか 考えられない俺を、 神楽は嫌うんだろうなあ…。 「…神威?どうしたアルか?」 神楽から声をかけられ、 神威はハッと我に返る。 「いや、なんでもないよ。」 そう言い、 神楽に向かってニコッと笑う。 「…うそネ、なんかあるだろ。 言うヨロシ。」 「え?本当にないってばー。」 目をギラつかせ 尋ねてくる神楽に、 神威は困ったように微笑む。 「…言って。」 神楽は強い眼差しで、 神威に問いつめる。 すると神威は フーッと息をはきだし、 “まいったなあ”と言った。  
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