2人が本棚に入れています
本棚に追加
真夜中、闇の中
しとしと降る雨は止む事を知らず
もう0時も回っているという事で足早で帰路に着く
「あの、お兄さん……」
突如聞こえたか細い声
振り返ると大きすぎる程の傘を差した女の子が一人
顔は傘で見えないが、背格好からしてまだ中学生ぐらいだろう
「キミ、こんな時間に一人でいたら……」
「お兄さん、私寂しいの……だから、遊んでほしい、な?」
傘から顔を出した少女の目は中学生とは思えない程成熟していて
まるでその言葉が毒であったかのように引き込まれていった
男が一人、闇の中へと消えていった
「そういうわけなの」
「どういうわけだ」
放課後の教室、一人の少女がノートを広げて説明してくれたのはリリス事件について
急に締められた言葉に思わずツッコミを入れてしまったのは、神月・時雨(闇夜の死神・b20526)
「まだ中学生ぐらいの見た目なんだけど、立派なリリスよ」
そのリリスは真夜中、しかも雨が降る日にのみ現われるらしい
狙われるのはいずれも一人で歩いている高校生以上の男子のみ
「雨という事で足場も視界も悪くて戦いづらいと思うわ」
「しかも、狙われるのが高校生以上か……銀誓館としては少し厳しいな」
「大丈夫よ、この学園は年齢不詳も性別不詳も多いんだから」
「どういう意味だ、お前」
「そのままよ、お母さん」
神月が押し黙ったのを確認すると少女は続ける
「相手はまずその言葉で惑わせてくるわ。しっかりした意志と強い心を携えて、いってらっしゃい」
少女は少し目を伏せて綺麗な笑みを作った
これからの戦いへ向かう皆に、少しでも元気付けられるようにと
最初のコメントを投稿しよう!