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真夜中、闇の中
しとしと降る雨は止む事を知らず
もう0時も回っているという事で足早で帰路に着く
「あの、お兄さん……」
突如聞こえたか細い声
振り返ると大きすぎる程の傘を差した女の子が一人
顔は傘で見えないが、背格好からしてまだ中学生ぐらいだろう
「キミ、こんな時間に一人でいたら……」
「お兄さん、私寂しいの……だから、遊んでほしい、な?」
傘から顔を出した少女の目は中学生とは思えない程成熟していて
まるでその言葉が毒であったかのように引き込まれていった
男が一人、闇の中へと消えていった
「そういうわけなの」
「どういうわけだ」
放課後の教室、一人の少女がノートを広げて説明してくれたのはリリス事件について
急に締められた言葉に思わずツッコミを入れてしまったのは、神月・時雨(闇夜の死神・b20526)
「まだ中学生ぐらいの見た目なんだけど、立派なリリスよ」
そのリリスは真夜中、しかも雨が降る日にのみ現われるらしい
狙われるのはいずれも一人で歩いている高校生以上の男子のみ
「雨という事で足場も視界も悪くて戦いづらいと思うわ」
「しかも、狙われるのが高校生以上か……銀誓館としては少し厳しいな」
「大丈夫よ、この学園は年齢不詳も性別不詳も多いんだから」
「どういう意味だ、お前」
「そのままよ、お母さん」
神月が押し黙ったのを確認すると少女は続ける
「相手はまずその言葉で惑わせてくるわ。しっかりした意志と強い心を携えて、いってらっしゃい」
少女は少し目を伏せて綺麗な笑みを作った
これからの戦いへ向かう皆に、少しでも元気付けられるようにと
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