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力強く、痛いくらいに抱きしめてくれる。
身体全体が、温もりに触れ、心地よく、心の痛みがとれていく。
絶対的な安心感がそこにあり、落ち着きを取り戻した。
「淳也、ごめんね。ありがとう。」
「………香澄?気付いている?今の言葉、あいつに言ったのと同じなんだけど、わざとじゃないよね?」
あっ―――
なんて私は、浅はかなんだろう。
“ごめんね”は、淳也には必要のない言葉だった。
ボキャブラリの無さに、ため息が出て来る。
私の気持ちが少し楽になったのと引き換えのように、淳也の気持ちを落としてしまった。
「俺は、一緒にされるの嫌なんだけど。」
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