紅月 短編集

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醜い願望 「死にたい。」 そう言いながら、 生きている奴がいた。 死ぬ勇気も無いくせに、 そう言う奴がいた。 「自分のなんか生まれて 来なければ良かったのに。」 そう言いながら、 生まれて来た奴がいた。 本当は生まれてくることを、 心の隅で願っていた奴が。 …醜い願いだよ。 生きてるくせに、 贅沢言うなよ。 どれだけ贅沢なんだ、人間は。 生きてるだけで贅沢なのに。 そうやって、醜悪な姿で 醜悪な願いを抱えて生きるのか。 …望んでいることは、 本当は"生"のくせに。
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