現実

5/5

1408人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
     明かりのない、家の扉を開く。    楓は長期に及んだが、もうすぐ退院と聞いた。そしたら、インスタントの生活は幕を閉じるだろう。    居間の机の上をみる。朝に食べたカップ麺のゴミが置かれていた。    それを始めに辺りを見回す。散らかり様から、秋がどれだけ楓に頼り切りだったかが垣間見れた。      2階の自分の部屋へと向かう。    しばらく換気もしていない。ここら辺も任せていたからだ。流石に空気の悪さを感じる。しかし、開ける気にはなれなかった。寒かったし、時間も惜しかった。    PCを起動させる。    即座にメインディスプレイに切り替わり、秋はカーソルを【Real】に持って行き、クリックした。   『i.dを起動してください。』    PCに繋がれたアイマスクに似た機械を付け、起動させた。    まばゆい光に目をくらませ、秋はゆっくりと、意識を落とした。           現実 完
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1408人が本棚に入れています
本棚に追加