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明かりのない、家の扉を開く。
楓は長期に及んだが、もうすぐ退院と聞いた。そしたら、インスタントの生活は幕を閉じるだろう。
居間の机の上をみる。朝に食べたカップ麺のゴミが置かれていた。
それを始めに辺りを見回す。散らかり様から、秋がどれだけ楓に頼り切りだったかが垣間見れた。
2階の自分の部屋へと向かう。
しばらく換気もしていない。ここら辺も任せていたからだ。流石に空気の悪さを感じる。しかし、開ける気にはなれなかった。寒かったし、時間も惜しかった。
PCを起動させる。
即座にメインディスプレイに切り替わり、秋はカーソルを【Real】に持って行き、クリックした。
『i.dを起動してください。』
PCに繋がれたアイマスクに似た機械を付け、起動させた。
まばゆい光に目をくらませ、秋はゆっくりと、意識を落とした。
現実 完
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