現実

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      「じゃあ、今日の授業はこれで終わりだ!明日は終業式だから、遅れずに来るんだぞ!」    聞き慣れたチャイムと同時に、6時間目が終了した。      皆、長期休みに備え、鞄に詰められるだけの教科書を詰めていた。    流石、秀才学校。そんな事を考えながら、秋も早々に鞄を担いだ。   「あの…住野君。」     「…今日は遅刻もしてないし、授業中に寝てもいないぞ。」    声の主に振り返る。いつもながら、委員長のしつこさには感服している所だった。   「えと、そうじゃなくて…住野君、冬休み何するのかな?って…。」    どこか気恥ずかしそうな視線で聞いてくる。   「…一日家にいる。Realやらなきゃだからな…。」   「…Real?」    しまった。と心で後悔した。   「Realって…林君、そのゲームで今入院しているんだよ?住野君だって、それで怪我して学校休んでたのに…」   「別に委員長には関係ない…」   「そんな事ないよ!!」    言葉を遮られる。委員長がここまで強気に発言してきたのは、初めてだった。   「…なんで?ゲームなんだよ?そんな物に命かけて…何が手に入るの?何が大事なの?」    委員長の言葉がだんだんと詰め寄ってくる。クラスの殆どは、帰り支度を終え、教室を抜けていた。   「…手に入る物なんてないよ…でも、取り返さなきゃいけない物がある…どうしても。」    秋は、それだけ呟き、委員長を押しやり教室から逃げた。    背中にかかる、委員長の声を無視して…。
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