パンドラの箱再び

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「……で、どうします? まだ俺と茜さんが残ってますけど……。まだやれます?」 「……正直、もう無理」 「まぁ、そうでしょうね」 「……だけど、」 「?」 黒岡さんの疲れきったその目に、わずかに光りが灯ったかのように見えた。 「……高津茜のキャラ崩壊を、望んでいる奴等がいる……。それだけは、せめてやっておかないと……、オレは奴等に顔向けできない……!」 「ッ」 く、黒岡さん……!あなたって人は……。 そんなボロボロの精神でも、あくまで他人のことを想うというのですか! その優しさ……! やはり、眼鏡オフ状態でも、吉岡さんは吉岡さんということなのか!彼女の根本的な優しさは、変わらないということか! なんてこった、黒岡さんが……。黒岡さんの姿が、大きく見える! 「黒岡さん……俺……誤解してました。黒岡さんは、凶暴そうに見えて、いつでも読者のためを想って行動していたんですね!」 「……っふ。なんのことやら」 黒岡さんが、ニヒルに笑う。 憧れる。 「……とにかくオレは、最後の仕事をする。だから頼む。肩を……貸してくれないか? 兎上駆」 「は、はい!喜んで!」 俺は黒岡さんに肩を貸す形で、彼女を立たせる。 そして、二人並んで、ゆっくりと茜さんのもとへと近づいていく。 「……なぁ、兎上駆」 「なんですか?」 「……オレ、さ。高津茜のキャラ崩壊が終わったら……普段のオレじゃ言えないこと、お前に言おうと思うんだ」 「良いバーを知ってるんですよ。そこで朝まで飲みながら、聞きますよ」 「……あぁ」 こうして俺達は、茜さんの前に辿り着いた。 黒岡さんは、ゆっくりと茜さんを指差し、最後の仕事に取り掛かる。 「高津……茜……」 黒岡さんの力強い眼差しは、茜さんを真っ直ぐと捕らえたまま。 そして――、 「お前、本当は兎上駆のこと好きなんじゃ―――、」 スバガーン。 茜さんの拳が腹部に叩き込まれ、黒岡さんは壁を突き破って外へと消えていった。 \(^0^)/クロオカサンオワタ
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