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「…………で。さっきの茜さんの言葉……どういう意味ですか?」
「あぁ、アレか」
俺がなんとか話の軌道を戻すと、茜さんは再び深刻な顔になった。
「キャラ人気投票とかでもそうなんだが……。夕梨って、メインヒロインなのに、なんか人気が低いと思わないか?」
「……う、むぅ……。
た、たしかに静香や吉岡さんに人気を取られまくってる気がしますね……」
「だろ?
アタシはそれが許せない!最愛の妹の人気がないなんて、そんなの……!!」
「たしかにそうですね。
夕梨みたいないい子が、不人気だなんて認めるわけにはいきません!」
「だから、考えようじゃねぇか!夕梨の人気を上げる方法を!」
「ええ!俺達で、夕梨を人気にしましょう!!」
「頑張るぞ、クソモヤシ!」
「はい、茜さん!」
「―――もうやめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺と茜さんの暑い会話。
それを引き裂いて、突如響き渡った悲痛な声。
その声の正体は、夕梨だった。
あぁ、そういえば、この場に本人居たんだっけ。忘れてた。
「どうしたの、夕梨。いきなり大声上げて?」
「どうしたの、じゃないよ駆!
何? 新手のイジメなのかな、コレは!どうして本人の目の前で、不人気だってことを暴露するの!?」
「いや、だって真実だし……」
「止めて!それ以上言わないでぇぇ!」
夕梨は一際大きく叫ぶと、今にも泣きそうな顔になってしまった。
すると、今度は茜さんが口を開く。
「なぁ、夕梨……。
アタシ達は、本気で心配してるだけなんだよ。これからの……お前のヒロインとしての立場を、な」
「だから、そうやって切実に心配されるのが、一番辛いの!有難迷惑も甚だしいよ!」
「大丈夫。アタシに全部任せとけ」
「生まれて初めて反抗期が訪れそうだよ、お姉ちゃん!」
「何ィ!だ、ダメだ夕梨!反抗期は嫌だ!盗んだバイクで走り出しちゃダメだぁぁぁぁ!」
「うわっ!すっごい非行のハードルが上がっちゃったよ!私、そこまでする気ないから!
……というか、暴走族がバイクと言わないで!妙にリアルだから!」
夕梨が必死に突っ込みをしている。
……新鮮だな。
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