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突っ込みに疲れたのか、夕梨が机に突っ伏したところで、茜さんは俺に向き直ってきた。
「……アタシとしてはだな、クソモヤシ。夕梨の不人気の理由として、夕梨は優し過ぎると思うんだ」
「……は、はぁ…。
でも、優し過ぎるって……それ、最高のプラス要素じゃないですか?」
「あぁ、確かにそうだ。だがしかし、昔から、水清ければ魚住まずって言うだろ?
あまり純粋で良い子過ぎても、読者としては現実味を感じられねぇんじゃねぇか?」
「……妙なところで説得力がありますね」
俺は思わず嘆息を漏らす。
茜さん、常日頃から夕梨の研究でもしてるんじゃないかな。
俺がそんなことを考えていると、茜さんは未だに机にだらりと突っ伏している夕梨の元へと近づいた。
「……と、いうわけだ。
夕梨。今からお前には少し汚れてもらいます」
「もう嫌ぁぁぁぁぁ!!」
瞬間、夕梨が息を吹き返したかのように、再び悲痛な叫び声を上げる。
茜さんが夕梨をこんな風にからかえるなんて、番外ならではだよね。
本当に番外って便利だよね。
だって本誌に関係ないもんね。
何やっても許されるもんね。
「さぁクソモヤシ!!今からアタシは夕梨に催眠じゅ………キャラ変のレッスンをするから、しばらくの間こっちに背を向けてろ!」
「なんか今、やたら気になるワードが出そうになりませんでしたか?」
「問答無用!!」
「ぎゃあぁぁぁ!!首の骨がぁぁぁぁ!!」
とりあえず、茜さんの豪腕により、強制的に後ろを向かされた俺。
振り返ったら確実に殺されそうなので、大人しくこのまま命令に従うことにした。
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