14310人が本棚に入れています
本棚に追加
/320ページ
「―――……ふぅむ。
静香、紫婉、吉岡、井沢、夕梨、クソモヤシと来て、次はいよいよラストのアタシか」
店内の隅で体育座りをする俺達を一瞥して、茜さんは呟いた。
はぁ。このグダグダでやりたい放題だった番外も遂に終わりか……。
長かった。実に長かった。
今日は早く寝て、忘れるとしよう。
「……しかしアレだ。困ったな……。非常に困った。」
だがしかし、ここに来て茜さんが、何か浮かない顔をして考え事をしている。
たまらず、俺は体育座りをしながら顔を上げた。
「……どうかしたんですか、茜さん……」
「いや、な、クソモヤシ。
ここまでのキャラ変は、なかなか順調にやってこれただろ?」
「順調……ねぇ……。まぁ。ある意味そうと言えますけど」
「そうだろ?
でもな、ラストを飾るアタシの番に来て、大きな問題が出てきたんだよ」
問題?
一体なんだというのだ。
こんだけ大暴れして、今更問題なんて出てくるハズが―――
「ほら。アタシって、キャラにおいて欠点部分が皆無だろ?
それなのに、このアタシのキャラを変更しようとしても……これ以上魅力的になるわけがねぇって話だ」
ビキ。
なんだろう。
空間が割れる音が聞こえた。
「んま、いいか!ラストをアタシで飾れなかったのは残念だが、それはそれで、アタシはアタシのままで十分だってことが証明されたわけだしな~!」
ビキ、ビキ、ビキキ。
なんだろう、この頭のリミッターが外れた感覚は。
この、体の芯から湧き上がるような怒りは。
「いやぁ~良かった良かった!実に有意義な番外だった!
それじゃ、テメェら、ご苦労だったな!今日はこれにて解散ってことで!」
プチッ。
あ、もう無理。
ちょっと我慢の限界。
「………く…くく……ふふふふふふふ」
俺は抑えきれないこの怒りを笑い声に変換し、ユラリと立ち上がった。
すると、俺の後に続いて、他の体育座りメンバーの5人もユラユラと立ち上がり始める。
どうやら、皆、同じ心境らしい。
最初のコメントを投稿しよう!